EDを引き起こす4つの原因と解決策

EDの原因は大きく「器質性(身体的原因)」「心因性(精神的原因)」「薬剤性(薬の副作用)」「混合型(複合的な原因)」の4つに分類され、特に糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病は神経と血管の両方に悪影響を与えるため、器質性EDの主な要因とされています。

心因性EDは若年層に多く、性行為の失敗体験やストレス、パートナーとの関係性が影響し、状況によって症状が出る「状況型」と、常に症状が現れる「一般型」に分類されます。これらはメンタル面のサポートや自信の回復が治療の鍵となります。

薬剤性EDでは、降圧剤や抗うつ薬、AGA治療薬などが副作用として勃起障害を引き起こすことがあり、特にSSRI系抗うつ薬では性機能障害の発生率が高いことが指摘されています。これに対しては、ED治療薬の使用や処方薬の見直しが効果的な対処法となります。

EDを引き起こす「4つ」の原因

EDの原因は、大きく4つに分けられます。
1つは「器質性」のものです。器質性とは、すなわち身体的な異常が原因となって起こるEDのことで、主に神経系や血管系の障害によって生じます。2つ目はメンタル面の影響が大きい「心因性」、3つ目は薬の副作用が原因となる「薬剤性」、$–$そして最後に、これら器質性・心因性・薬剤性が複合してみられる「混合型」です。

EDの原因は4つ:器質性・心因性・薬剤性・混合型を図解したインフォグラフィック

とくに「心因性ED」については、1999年に国際インポテンス学会の用語委員会が示したED分類試案において、一般型(generalized type)状況型(situational type)の2つに大きく分けられています。
参考Psychogenic erectile dysfunction. Classification and management(心因性勃起不全。分類と治療)|PubMed(英文)
今回は、EDの主要な原因である器質性・心因性・薬剤性の3つについて、順に詳しく解説していきましょう。

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1.器質性EDの原因

器質性EDの原因は、大きく分けて「神経系」「血管系」の2つがあります。両方が関係しているケースも少なくありませんが、まずは「神経系」の障害によるEDから見ていきましょう。
神経系に障害が生じるということは、脳が性的興奮を感じて「勃起しろ」という命令を出しても、その指令が陰茎まで正常に伝わらない状態を指します。

糖尿病

この神経障害の原因として最も多いのが、生活習慣病として知られる糖尿病です。糖尿病は「血液の病気」ですが、血液中のブドウ糖濃度が高い状態が続くことで血管が傷つくだけでなく、さまざまな臓器や神経にも悪影響を及ぼします。
糖尿病による神経障害は「糖尿病性末梢神経障害」と呼ばれ、脳からの命令がペニスに伝わりにくくなることでEDにつながるわけです。

2016年に厚労省が実施した調査では、
「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)」が約1,000万人
「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」も約1,000万人
と推計されています。
参考平成28年「国民健康・栄養調査」の結果|厚生労働省

空腹時血糖値(GLU)126mg/dL以上、またはヘモグロビンA1c(HbA1c)6.5%以上で糖尿病の可能性が高いと判定されます。

手術や外傷

自動車やバイク事故による脊髄損傷椎間板ヘルニアなども、神経障害による器質性EDの代表的な原因です。
脊髄損傷では、勃起に関わる神経が傷ついたり切断されたりすることで、脳からの勃起命令が陰茎に届きにくくなることがあります。
椎間板ヘルニアでは、加齢などで変性した椎間板の組織が脊髄や神経を圧迫し、その結果、やはり勃起命令が伝わりづらくなってしまいます。

車とバイクの交通事故

そのほか、多発性硬化症などの神経疾患が原因となる場合や、前立腺がん・直腸がんなどの骨盤内外科手術の際に勃起に関わる神経が切断されてしまう場合もあります。
このような神経障害が強いケースでは、一般的なED治療薬(PDE5阻害薬)では十分な効果が得られないことが多く、プロスタグランジンE1製剤を直接陰茎海綿体に注入して勃起を得る「ICI療法」を選択することになります。

動脈硬化

一方、「血管系」の障害による器質性EDは、血管が細くなって血流が悪くなり、陰茎海綿体に十分な血液が流れ込まないことで起こります。
血管系の障害のなかでも圧倒的に多い原因が「動脈硬化」です。動脈硬化になると血管が硬くなり、必要なときに十分な太さまで広がらなくなるため、大量の血液を送り込めなくなります。

動脈の太さの比較図

動脈硬化が進行し、
冠動脈が詰まると心筋梗塞
内頚動脈で血栓ができると脳梗塞
につながりますが、陰茎動脈が詰まると陰部への血流が悪くなり、ED(勃起不全)となります。
動脈硬化は、大動脈のような太い血管だけでなく、陰茎海綿体の中にある細い血管にも起こる病態です。
「動脈硬化になると最初に出る症状がED」といわれるのは、こうした理由があるのです。

脂質異常症

また、脂質異常症(高脂血症・高コレステロール血症)も、血管系の器質性EDの重要な原因のひとつです。脂質異常症とは血中脂質値が高い状態であり、血液がドロドロになることで血流は悪化し、結果としてEDを引き起こしやすくなります。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)140mg/dL以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)40mg/dL未満、トリグリセライド(中性脂肪のことで血液検査では「TG」と略されています)150mg/dL以上のいずれかで脂質異常症と判定されます。

血液検査での血中脂質の数値結果

器質性EDの患者さんは、神経系血管系のどちらか、あるいは両方に障害を持っていることが多くあります。
たとえば、先ほど神経系障害による器質性EDの原因トップは糖尿病とお伝えしましたが、糖尿病は同時に血管系障害による器質性EDの原因にもなります。
糖尿病によって動脈硬化や高血圧が進行し、血管が細くなることでEDを発症するケースもよく見られます。
このように、糖尿病はさまざまな合併症を引き起こすことで知られていますが、EDにおいても「神経系」と「血管系」両方の原因となりうる代表的な疾患なのです。

2.心因性EDの原因

2つ目の大きな原因が「心因性ED」です。
ストレスや不安、うつ病などの心理的要因によって起こるEDを指します。血管や神経の障害による器質性EDが50代以降の男性に多いのに対して、心因性EDは20?30代の比較的若い世代に多いという特徴があります。

そして、その原因は患者様ごとに実にさまざまです。代表的なのは、性行為での失敗体験がトラウマとなる「自信喪失型」のケースです。ペニスの勃ちがいまひとつでうまくSEXができなかったときに、
「それでも男なの?」「だらしないわね」
といった心ない一言をパートナーから言われて深く傷つき、その経験がきっかけで心因性EDを発症してしまうことは決して珍しくありません。

[Image illustrating the performance anxiety cycle where stress activates the sympathetic nervous system, inhibiting the parasympathetic response needed for erection]

このような経緯で心因性EDになると、「また勃たなかったらどうしよう……」という不安が頭から離れず、失敗への恐怖がさらに勃起を妨げるという負のループに陥りがちです。
心因性EDでは、何よりも「自信を取り戻すこと」が重要ですが、焦れば焦るほどプレッシャーが強まり、ますますうまくいかなくなるという悪循環に陥り、次第にSEXそのものを避けるようになってしまうこともあります。

(i) 一般型の心因性ED

一般型の心因性EDとは、「状況の変化とは無関係に、常にED症状がみられる状態」と定義されています。精神的な要因が背景にあるため、シチュエーションや性行為の相手を問わず、いつ・誰とであっても勃起しない、あるいは勃起しづらいタイプのEDです。

このタイプのEDは、さらに「無反応型」「抑制型」の2つに分けられます。
無反応型は、いわば「性的に枯れている」状態で、性的興奮自体がほとんど起こらないタイプです。性的興奮を感じられなければ勃起には至りません。このタイプは加齢などを背景にした年配の方によく見られます。

抑制型は、パートナーとの人間関係のこじれなどをきっかけに性中枢のスイッチを無意識のうちに切ってしまっている状態を指します。性中枢のスイッチが切れているため性的欲求がほとんど生じないだけでなく、SEXそのものに対して嫌悪感を抱いている方も少なくありません。

(ii) 状況型の心因性ED

状況型の心因性EDとは、SEXを行う「状況」や「条件」によって、症状の有無が変化するタイプを指します。心因性EDの最も典型的なものです。このタイプは、主に「パートナー関連型」「行動関連型」「精神 transition的苦痛や適応への関連型」の3つに分けられます。

「パートナー関連型」とは、SEXの相手によって勃起の状態が変わるタイプです。妻とだけはEDになる、あるいは特定の相手にのみ性的興奮を覚えるといったケースです。
「行動関連型」とは、ほかの性機能の問題(早漏や遅漏、先天性陰茎彎曲症など)や、過去の失敗体験からの予期不安がきっかけでEDに陥るタイプを指します。
「精神的苦痛や適応への関連型」は、仕事・家庭・友人関係などでの継続的なストレスによって意欲や性欲が低下し、発症するEDです。

これらのEDについては、当院ホームページのコンテンツ「マンガでわかる!EDの様々な要因」をご覧いただければ、より深くご理解いただけることでしょう。

3.薬剤性EDの原因

3つ目の原因が「薬剤性ED」です。
抗うつ薬・降圧薬・前立腺肥大症治療薬・AGA(男性型脱毛症)治療薬など、内服している薬の副作用によってEDが起こることがあります。とくに降圧剤では、元々投薬前から動脈硬化が進んでいるケースも多く、因果関係が明確にはなっていない薬剤も多いのです。

しかし、日本性機能学会と日本泌尿器科学会が2018年1月に発行したEDガイドライン[第3版]では、利尿薬・β遮断薬・Ca拮抗薬は、勃起不全の報告が多く、α遮断薬・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬に関しては影響がなく、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)に関しては、僅かに報告がある。と記されています。

抗うつ薬の副作用による勃起不全は非常に多いので、もし、抗うつ薬を服用し始めてから中折れになる回数が増えたら薬剤性のEDを疑って下さい。主にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、性機能障害の副作用発現率が約7割にも達すると報告されています。このような方にもED治療薬の効果はありますので試してみるのもよいでしょう。しかしSSRIやSNRIは副作用で射精障害もあるので勃起はしても射精に至らない場合は主治医に事情を説明して薬を変更や減薬で対処するしかないでしょう。

前立腺肥大症治療薬やAGA治療薬で使用される5α還元酵素阻害薬であるデュタステリドも副作用で勃起障害の報告がされています。この薬は男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)に変換させるために必要な5α還元酵素を阻害することから性欲減退や勃起障害の副作用が現れますが日本人120例中勃起不全3%、性欲減退8%程度です。また、デュタステリドは半減期が3週間程度あるため服用中止しても、すぐには副作用の症状も収まらないことがあります。
同じくAGA治療薬で使用されるフィナステリドの場合は、長期服用していても半減期は4時間程度なので、副作用が発現しても服用停止すれば、比較的早期に改善します。
どちらのお薬でも副作用で勃起障害が発現してもED治療薬で対処可能なので、服用は止めずにしばらく様子を見るのがよいでしょう。

4.混合性EDの原因

「器質性ED」「心因性ED」「薬剤性ED」の3つが様々な組み合わせで混合することが要因となるEDです。

例えば、医薬品の副作用で中折れを経験したことで、それがトラウマとなり性行為の度に思い出してしまい不安が募ることで性的興奮が高まらなかったり、行為に集中できなくなります。このようなケースは、薬剤性ED+心因性EDの混合型となります。
他にも軽度の器質性EDの方でも中折れを経験した時にパートナーから「だらしないわね?」などと言われ、それがトラウマとなり心因性EDを併発してしまう器質性ED+心因性EDの混合型となります。
このように「混合型ED」は「器質性ED」「薬剤性ED」がきっかけで「心因性ED」も併発してしまうというケースが多いのが特徴と言えます。

EDの原因をアンケート調査した結果

当院では、EDの自覚がある250人、EDでは無い250人を対象に食生活、飲酒、喫煙、睡眠時間、に関するアンケート調査を実施し生活習慣が発症に関係しているのか?また、「EDの原因が何だと思うか?」の調査も実施しました。以下に調査結果の一部を抜粋して紹介しています。調査の詳細はEDの原因に関する調査をご覧下さい。

  • 自分がEDになったのは「ストレス」のせいだと考えている人が大半。中には「自慰」や「食生活」という人も。
  • 「食事をあまり食べない」人のうち6割弱がEDに。アルコールも毎日の飲酒はEDの遠因に?
  • 喫煙者の方がややEDになりやすい?更に「6時間」は睡眠時間を確保しないと危険という結果も
  • 現在、妻や彼女と上手くいっていない人の多くが「ED」の自覚があるという結果に

調査対象 : 全国の30歳?49歳までの男性500名(うち、EDの自覚がある人250名)
調査方法 : インターネット調査
調査期間 : 2015年5月8日?5月12日

あなたのEDの原因は何だと思いますか?

  • ストレス44%
  • オナニー11%
  • 運動不足9.6%
  • パートナーとの相性8.8%
  • 睡眠不足5%
  • 食生活2.6%
  • 初体験の年齢0.6%
  • その他18.4%

圧倒的に多かったのは「ストレス」で44.0%という結果が出ました。また他に多かったのが「オナニーの仕方」で11.0%、「パートナーの相性」が8.8%などです。

食生活はどういったものが中心ですか?

食生活はどういったものが中心でしょうか?
  • EDである、もしくは自分はEDであると思う。
  • EDでない、もしくは自分はEDでないと思う。

普段アルコールはどれくらいの頻度で飲みますか?

普段アルコールはどれくらいの頻度で飲みますか?
  • EDである、もしくは自分はEDだと思っている。
  • EDではない、もしくは自分はEDではないと思っている。

1日平均睡眠時間は何時間とっていますか?

1日平均睡眠時間は何時間とっていますか?
  • EDである、もしくは自分はEDだと思っている。
  • EDではない、もしくは自分はEDではないと思っている。

EDの解決法

より詳しく治療方法を知りたい方はED治療(勃起不全治療)の様々な方法をご覧ください。

ED治療薬で勃起の補助をする

器質性でも心因性でも薬剤性でも有効なのがED治療薬(PDE5阻害薬)です。まずは、これを試すのが一番の選択でしょう。「勃起はするが硬さが今一つ」、「勃起はするが途中で中折れしてしまう」といった症状でしたら、かなり高い確率で効果が期待できます。ポイントは、なるべく空腹時に服用することです。お薬の成分は小腸から吸収されます。食後だと腸に油膜が張ってしまい薬の吸収を妨げてしまうため薬の効果が充分に発揮されないのです。

生活習慣を改める

主に器質性EDの方の場合は、適度な運動・食生活の改善・禁煙等々、生活習慣を改めることでED改善には確実に役立ちます。肥満気味になり内臓脂肪が増えると、インスリンの活動が妨げられ血糖値も上がり血流が悪くなり血管を傷つけ動脈硬化に繋がります。適度な運動を心がけ、間食を減らし、塩分の高いものや脂質の高いものを食べ過ぎず、ゆっくりよく噛んでモノを食べることで肥満を予防することになり、徐々にインスリンの分泌が増加し働きもよくなり血流もよくなり結果、EDの改善に繋がります。

減薬や薬の変更

薬剤の副作用がEDの要因である場合もED治療薬は有効ではありますが、より薬の効果を引き出すために主治医に相談し、減薬もしくは処方薬を変更してもらうのがよいでしょう。
基本的にうつ病の症状がある時は性行為にもあまり興味がなくなることから、あまりEDで悩む人は少ない傾向にあります。しかし、うつ状態が安定もしくは改善し始めた頃に性行為への意識も徐々に高まり、いざ性行為をしてみるとED気味になっていることに気が付き当院に来院されるケースが多いのです。EDで悩んでいる時点でうつ状態も改善に向かっていることが多いので主治医に相談すれば減薬や処方薬の変更してくれる可能性はあるでしょう。
降圧剤や前立腺肥大症治療薬やAGA治療薬の副作用でED気味になっている場合はED治療薬で対策すれば問題ないでしょう。

ICI療法

前立腺がんや直職がんなどの骨盤内外科手術や事故等による脊髄損傷等で性的刺激を伝達する神経が切断されてしまい自力で勃起も厳しい状態の場合はED治療薬での改善は期待できません。その場合はプロスタグランジンE1製剤を、直接陰茎海綿体に注入し、強制的に勃起させるICI療法(陰茎海綿体自己注射療法)という方法が良いでしょう。担当医に注射の打ち方を教えてもらい二回目からは自身で注射することになります。治療費は1回で5,000?10,000円が相場です。
※当院ではICI療法は行っておりません。

監修者情報

本記事については、すべて浜松町第一クリニック院長である
竹越昭彦が監修しています。

竹越昭彦
院長 竹越 昭彦 (たけこし あきひこ)

略歴

  • 1966年生まれ
  • 1991年 : 日本医科大学卒業
  • 1991年 : 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 : 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 : 浜松町第一クリニック開院
備考

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