プロペシアとは

効果的な服用方法及び注意点

• 1日の服用は1回とし、1錠を水またはぬるま湯で服用ください。服用間隔は24時間以上あけて下さい。
• 治療薬は、男性におけるAGA(男性型脱毛症)のみの適用であり、円形脱毛症や抗癌剤等による脱毛症に対する適用ではありません。
• 20歳未満での安全性及び有効性は確立されておらず、未成年に対するプロペシア処方はできません。
• 女性に対する適用はなく、女性に対してプロペシアの処方はできません。また、妊婦、妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性はプロペシアの服用を避けてください(妊娠中の女性がプロペシアを服用すると男性胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼすおそれがあります)。
  ※以下の「経皮吸収に注意」もご参照下さい。
• 3ヶ月の連続投与により効果が発現する場合もありますが、効果が確認できるまで通常6ヶ月以上連続してのプロペシア服用が必要です。
• 効果を持続させるためにはプロペシアを継続的に服用ください。服用し続けた結果、効果があっても服用を中止すると効果は無くなり症状が進行します。
• 前立腺がんの検診を受ける予定のある方は、プロペシアを服用していることを必ず検査を実施する医師にお知らせください(プロペシアの成分は前立腺がん検査で測定されるPSA値を約50%低下させるので、測定したPSA濃度を2倍にした値を目安にする必要があります)。
• 献血禁止プロペシア服用中は献血はできません(献血した血液が妊婦や授乳中の女性の体内に入るのを防ぐため。1ヶ月間プロペシアの服用をやめれば献血は可能)。
• 副作用として性欲減退やEDの症状が出る可能性があります。国内での臨床試験では発現率は1.0%未満です。副作用の詳細については下記の「副作用について」をご覧ください。
• オルガノンが提供している患者様向けの「プロペシア錠の服用ガイド」を閲覧、ダウンロード可能です。
• 因果関係は明らかになっていませんが、自殺念慮、自殺企図、自殺既遂の報告があります。プロペシアを服用中に少しでも予兆が現れた時は服用を中止し、速やかに当院にご連絡をお願いします。過去にうつ病やうつ状態の既往歴のある人、または自殺念慮、自殺企図の起用歴のある方は特に注意が必要です。

プロペシアでの男性型脱毛症の治療では、お薬自体を28錠単位で処方することが可能ですが、とりあえず試してみたいという方であっても効果の有無を判断するためには毎日1日1回プロペシアの服用を、最低でも6ヶ月以上は継続しなくてはならないことをご理解ください。

経皮吸収に注意

フィナステリドは触れただけでも吸収される成分です。よって、意図せずしてフィナステリドを妊婦、妊娠している可能性のある女性が吸収してしまうかもしれません。プロペシアの錠剤は衝撃を与えないこと、割って使用しないことなどが注意点とされている理由も経皮吸収の危険性を示唆しているわけです。通常、処方されるプロペシアは経皮吸収が起きないようにコーティングされているため心配はありませんがご家庭内に(同居人に)未成年の方や女性がいる場合は、特にプロペシアの取り扱いに注意してください。

有効成分フィナステリドについて

プロペシアの有効成分は「フィナステリド」です。 この成分は5α還元酵素阻害薬という分類のお薬で同じ分類のお薬としてプロスカー(フィナステリド 5mg)という前立腺肥大のお薬がございます。これらのお薬は、アメリカテキサス州～メキシコに自生するノコギリヤシという植物の薬効成分を研究してできた化学合成品です。

一般名	フィナステリド（Finasteride）
分子式	C23H36N2O2
構造式
性状	白色の結晶性の粉末である。 メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水にはほとんど溶けない。

食事の影響及び併用禁忌薬

食事の影響

発売元であるMSDの臨床データでは空腹時と食後(服用してから24時間までの血漿中濃度－時間曲線下面積)とでフィナステリドのCmax(最高血漿中濃度)、Tmax(最高血漿中濃度到達時間)、AUC(0-24hr) にほとんど変化はありません。よって食事の影響はありませんので、服用の際は食事のことは気にせず1日1回の服用だけを心掛けてください。できれば24時間周期で服用するのが望ましいので、毎日服用する時間はある程度決めておきましょう。また、水とお湯のどちらでプロペシアを飲んでも効果に影響はありません。錠剤は小さいため、水なしで飲むこともできます。さらに、お酒を飲んだ際も服用を控える必要はないため、お酒を日常的に飲まれている方でも安心してご使用ください。

併用禁忌薬

こちらもMSDの資料には他の薬剤との併用による影響は認められなかったとあります。つまり併用禁忌薬はございませんので、現在、常用しているお薬があっても気にせず服用を始めていただいて問題ありません。当院でもプロペシア錠と後発品であるフィナステリド錠も含め、2024年10月現在までに延べ45万人以上の患者様に処方をしていますが、他剤との併用による体調の変化等の報告は一度もありませんのでご安心ください。

精液へ成分は移行する？

プロペシアの有効成分であるフィナステリドを妊婦が摂取すると男性胎児の生殖器に異常をきたす可能性があることから、子作り(妊活)を始めようとしている人や妊娠中の性行為をする人には気になるところだと思います。MSDの資料には「男性型脱毛症患者にフィナステリド1mgを1日1回6週間経口投与した時の精液中への移行量は極めて微量(投与量の0.00076％以下)であった」とあります。この量は射精量1日5mlとして、かつフィナステリドが100％吸収されるものと仮定すると、経膣吸収による女性の曝露は最高7.6ng/日となり、これは「アカゲザルの発育異常に対する無影響量の750分の1より低い」と記されています。
つまり服用を続けて子作りをしても全く気にすることはないということです。もちろん当院の患者様からも今まで服用を続けたことにより胎児及び母体に何かしらの問題が生じたという報告も一切ありません。どうしても気になる方は、服用を中止して1ヶ月経過すれば主成分であるフィナステリドが完全に体内から抜けるので子作りの1ヶ月前から服用を止めるのが良いでしょう。

プロペシアはドーピング薬？

フィナステリドは2005年からWADA(世界アンチ・ドーピング機関)により筋肉増強剤の使用を隠蔽する作用があることからドーピング剤としてリストに入っていました。しかし検査技術向上によりフィナステリドを使用していても筋肉増強剤などの検出が可能になったため2009年1月1日からは禁止薬剤のリストからは外れています。そのため、現在はスポーツ選手の方でも問題なくプロペシアをお使いいただくことが可能です。禁止薬物に指定されていた2005年～2008年末の間で世間を騒がせた事例は以下の通りです。

• 2006年：ソリ競技スケルトン男子ザック・ランド(米国)…2006年トリノ五輪代表に不選出
• 2007年3月：サッカー元オーストラリア代表スタン・ラザリディス…1年の出場停止処分
• 2007年8月：ソフトバンク所属のリック・ガトームソン投手…20日間出場停止
• 2007年12月：サッカー元ブラジル代表ロマーリオ…120日間出場停止

最新の禁止物質は以下のリンク先をご参照下さい。2025年度禁止薬剤リストにもプロペシアの掲載はありません。

女性への適用はあるのか？

プロペシアはAGA(男性型脱毛症)の治療薬であり、作用機序でも説明した通り、AGAの原因であるDHTの生成に必要不可欠な5α還元酵素を阻害することで抜け毛を抑えます。女性の薄毛の原因は男性とは違い、そもそもAGAになる可能性は極めて低いため女性が服用しても効果は得られません。プロペシアの添付文書にも「海外で実施した閉経後女性137人の男性型脱毛症を対象とした12ヵ月間のプラセボ(偽薬)対照二重盲検比較試験においてフィナステリドの有効性は認められなかった」とあります。

女性の服用は危険

プロペシアはAGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑えます。つまり男性ホルモンに影響を及ぼすお薬です。男性ホルモンは女性の身体にも男性の5～10％程度、存在しているので服用するとホルモンバランスを崩し体調を崩す可能性は否定できません。また、妊娠中や授乳中の女性がプロペシアを服用すると赤ちゃんの生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れもあるので、女性は服用してもデメリットしかないでしょう。