慢性腎臓病とED

慢性腎臓病(CKD)は加齢や生活習慣病、薬の影響などで腎機能が徐々に低下していく疾患で、国内の患者数は約2,000万人と推定され、進行すると末期腎不全となり透析や腎移植が必要になります。

進行したCKDでは腎機能の低下により老廃物が排出されず、動脈硬化や貧血、自律神経障害、ホルモンバランスの乱れなどが生じるため、ED(勃起障害)を高頻度で併発します。特に透析患者では半数以上がEDを経験しています。

腎機能が低下した状態でもED治療薬の服用は可能ですが、体内に薬が長く残るため少量から始める必要があります。透析中の方はバイアグラ・シアリスの使用が可能ですが、レビトラは禁忌であり、服用時は医師と相談の上で慎重に使用することが大切です。

慢性腎臓病とは?(CKD : Chronic Kidney Disease)

慢性腎臓病(CKD)とは、生活習慣病(糖尿病・高血圧等)や加齢、薬の影響などにより、数ヶ月から数年かけて徐々に腎機能が低下していく状態を指します。腎機能の悪化が進むと、老廃物を排出できなくなる「末期腎不全」に至り、人工透析や腎移植が必要となります。

診断基準

医師による問診のイメージ

以下のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する場合にCKDと診断されます。

  • 1. 腎障害の存在 : 尿検査での蛋白尿(特に0.15g/gCr以上)や、画像診断・血液検査で異常が認められる。
  • 2. 腎機能の低下 : eGFR(糸球体ろ過量)が60mL/分/1.73m2未満である。

国内患者数

日本国内のCKD患者数は増加傾向にあり、2026年時点の推計では約2,000万人(成人5人に1人)に達すると言われています。まさに「新たな国民病」とも呼べる状態で、早期発見と進行抑制のための治療が極めて重要です。

参照元 ⇒ CKD診療ガイド2024 : 日本腎臓学会

慢性腎臓病の原因

CKDの主な原因は、メタボリックシンドロームを背景とした生活習慣病です。特に末期腎不全へと進行する3大原因は「糖尿病腎症」「腎硬化症(高血圧が原因)」「慢性糸球体腎炎」です。

年別透析導入患者の主要原疾患推移

蛋白尿やアルブミン尿が認められる病態は、腎臓だけでなく心血管疾患(心不全や心筋梗塞)のリスクも高めます。糖尿病や高血圧の適切な管理が、腎臓と心臓を守ることに直結します。

CKD重症度分類 (eGFR区分)

CKDの重症度は、eGFR(糸球体で1分間にろ過される血液量)によってG1からG5の6段階に分類されます。

CKDのGFR区分と進行度

eGFR区分(mL/分/1.73m2)

  • G1 : 90以上 (正常)
  • G2 : 60~89 (軽度低下)
  • G3a : 45~59 (軽度~中等度低下)
  • G3b : 30~44 (中等度~高度低下)
  • G4 : 15~29 (高度低下)
  • G5 : 15未満 (末期腎不全)

一般的に症状が現れ始めるのはeGFRが50未満になった頃からです。夜間多尿、動悸・息切れ、倦怠感、むくみなどの自覚症状が現れたら、速やかな専門医の受診が必要です。

慢性腎臓病の治療と代償療法

CKDそのものを完治させる治療法は現時点ではありませんが、進行を遅らせるための食事療法(低タンパク・塩分制限)や薬物療法(降圧薬等)が行われます。末期腎不全に至った場合は、以下の代償療法が検討されます。

透析療法と腎移植

  • 血液透析 : 機械(ダイアライザー)を介して血液を浄化します。
  • 腹膜透析(CAPD) : 自身の腹膜を利用して老廃物を取り除きます。
  • 腎移植 : 提供された腎臓により機能回復を目指します。現在、5年生着率は約95%と非常に良好です。

慢性腎不全とED治療薬の服用

慢性腎不全の方でも、バイアグラ等のED治療薬の服用は可能です。ただし、腎機能が低下していると薬の成分が体内に留まりやすくなるため、作用が強く出すぎたり、副作用(顔のほてりや頭痛)が長引く可能性があります。

透析を受けている方の注意点

服用可能 : バイアグラ(シルデナフィル) / シアリス(タダラフィル)
服用禁止(禁忌) : レビトラ(バルデナフィル)

透析患者の方は、まずは少量(低用量)から開始し、主治医やED専門医と相談しながら適切な量を見極めることが大切です。

腎移植をされた方の注意点

移植された腎臓が正常に機能していれば、ED治療薬の服用は原則として禁忌ではありません。ただし、免疫抑制剤との飲み合わせを確認する必要があるため、必ず主治医に確認してください。

監修者情報

本記事については、すべて浜松町第一クリニック院長である
竹越昭彦が監修しています。

竹越昭彦
院長 竹越 昭彦 (たけこし あきひこ)

略歴

  • 1966年生まれ
  • 1991年 : 日本医科大学卒業
  • 1991年 : 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 : 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 : 浜松町第一クリニック開院
備考

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