本態性高血圧(一次性高血圧)とED

本態性高血圧は原因が明確でない高血圧であり、患者の約90~95%を占めるとされ、多くは生活習慣や加齢、遺伝など複数の要因が関係しており、治療には生活習慣の見直しが中心となります。

食塩感受性高血圧では、体内でナトリウムや水分の排出調整がうまくできず血圧が上昇するため、減塩が重要な対策とされますが、感受性の有無にかかわらず減塩は他の疾患リスクを下げるため推奨されています。

本態性高血圧は動脈硬化を通じてEDの原因となることがあり、また一部の降圧剤もEDを引き起こす可能性があるため、血圧が安定していればED治療薬の併用が可能ですが、コントロールされていない高血圧では使用できない場合があります。

本態性高血圧(一次性高血圧)とは?

本態性高血圧の原因イメージ

高血圧は、その発症原因によって「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2つに大別されます。二次性高血圧が特定の疾患によって引き起こされるのに対し、検査をしても血圧上昇の直接的な原因が特定できないものを「本態性高血圧」と呼びます。

厚生労働省の調査(2023年)によると、国内の高血圧患者のうち約90~95%がこの本態性高血圧に該当します。原因がはっきりしないため、生活習慣の改善や降圧剤による「血圧のコントロール」が治療の主軸となります。

本態性高血圧の原因

「原因不明」とはいっても、何も関係がないわけではありません。現在の医学では、単一の原因ではなく、遺伝的素因(体質)に、塩分の摂りすぎ、肥満、運動不足、喫煙、過度なストレスといった「環境要因」が複雑に絡み合って発症すると考えられています。特に30~40代から徐々に血圧が上がり始めるのが一般的です。

本態性高血圧の診断と「二次性」の除外

血圧計による測定

本態性高血圧には、血圧が高いこと以外に目立った自覚症状はほとんどありません。そのため、診断は消去法で行われます。血液検査や画像検査などを行い、以下のような特定の疾患が原因となる「二次性高血圧」ではないことが確認されて初めて、本態性高血圧と診断されます。

除外すべき二次性高血圧の主な原因

  1. 腎性高血圧 : 腎炎、多発性のう胞腎など、腎臓の障害が原因。
  2. 血管性高血圧 : 腎血管性高血圧や大動脈の狭窄が原因。
  3. 内分泌性高血圧 : ホルモン異常(原発性アルドステロン症等)が原因。
  4. 睡眠時無呼吸症候群(SAS) : 睡眠中の低酸素状態が血圧を上昇させる。

高血圧発症のメカニズムと動脈硬化

血圧は「心臓が送り出す血液の量(心拍出量)」と「末梢の血管の通りにくさ(血管抵抗)」の掛け合わせで決まります。本態性高血圧の多くは、この血管抵抗が増加することで起こります。

正常な血管と動脈硬化の血管の比較

高血圧が続くと血管壁は常に強い圧力を受けて厚く硬くなり、これが「動脈硬化」を進行させます。硬くなった血管はさらに通りにくくなるため、血圧がさらに上がるという悪循環に陥ります。この動脈硬化は、脳卒中や心筋梗塞、そしてEDの直接的な原因となります。

食塩と「食塩感受性高血圧」

食塩感受性高血圧の仕組み

日本人の高血圧に深く関わっているのが塩分(ナトリウム)です。通常、余分な塩分は腎臓から排泄されますが、その能力には個人差があります。塩分を摂ることで血圧が上がりやすいタイプを「食塩感受性」と呼びます。

メカニズム : 腎臓が血圧の低下を感知すると「レニン」という物質を出し、血管を収縮させるアンジオテンシン系を活性化させます。本来は血圧が戻ればこの働きは止まりますが、調節機能が乱れると塩分や水分を体内に溜め込み続け、慢性的かつ高度な高血圧を引き起こします。

[Image of the renin-angiotensin-aldosterone system (RAAS)]

本態性高血圧の治療方法

減塩による改善イメージ

まずは「生活習慣の改善」が基本です。減塩、体重管理(肥満の解消)、適度な運動、禁煙、ストレスの軽減を数ヶ月実践します。これらを行っても血圧が目標値まで下がらない場合は、降圧剤による薬物療法を開始します。自覚症状がなくても、血管や心臓を守るために治療を継続することが極めて重要です。

本態性高血圧とED治療の関係

高血圧とEDは、どちらも「血管の不調」が根本にあるため、併発しやすいのが特徴です。当院でも、多くの高血圧患者様がバイアグラ等のED治療薬を安全に使用し、良好な効果を得られています。一般的な降圧剤との併用も原則として問題ありません。

【重要】処方ができないケース (禁忌)

安静時の血圧が適切にコントロールされていない場合、心血管系への負荷を考慮し、処方ができない基準があります。

  • 収縮期血圧(上の血圧) : 170mmHg以上
  • 拡張期血圧(下の血圧) : 100mmHg以上

上記に該当する方は、まずはかかりつけ医等で高血圧の治療を優先してください。治療によってこれ以下の数値に安定していれば、ED治療薬の処方が可能になります。

監修者情報

本記事については、すべて浜松町第一クリニック院長である
竹越昭彦が監修しています。

竹越昭彦
院長 竹越 昭彦 (たけこし あきひこ)

略歴

  • 1966年生まれ
  • 1991年 : 日本医科大学卒業
  • 1991年 : 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 : 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 : 浜松町第一クリニック開院
備考

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