非定型うつ病とED

非定型うつ病は、良いことがあると気分が回復し、嫌なことには過剰に反応する特徴があり、食欲や睡眠が増える点など従来のうつ病と異なる症状を示すため、単なるわがままと誤解されやすいが、本人にとっては深刻な苦痛を伴う病態です。

この概念は、かつて軽症慢性うつ状態と考えられていた患者の一部にMAO阻害薬が有効であったことなどを背景に発展したもので、症状や背景が多様なため、双極性障害などとの鑑別が必要なケースがあります。

性欲が増しても勃起力が追いつかないED症状がみられることもあり、ED治療薬が有効な場合も多くあります。一方、治療に用いる抗うつ薬や抗精神病薬にはEDなどの性機能障害を引き起こすものもあるため、医師と相談しながら適切に対処することが大切です。

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非定型うつ病とは?

非定型うつ病の寝起きのうつ状態

非定型うつ病とは、従来の「好きなことをしても楽しめない」「食欲がなく痩せていく」「性欲が低下する」などのうつ症状とは異なり、「好きなことは楽しめる」「良いことがあれば気分は良くなる」が、逆に「少しでも嫌なことがあると著しく気持ちが沈んでしまう」症状で、通常のうつ病とは異なり、「食欲が増し太る」「過眠」「性欲が増加する」こともあります。健康な方でも、もちろん気分の浮き沈みはありますが、非定型うつ病はその度合いが顕著で、病的な状態を指します。他の方から見ると、ただ単に「ワガママなだけではないか?」「打たれ弱いだけではないか?」と考えられがちですが、本人にとっては、他の方が考えている以上に辛い状態にあります。社会人では、仕事の日は、うつ状態となり気分が極端に沈み起き上がれなくなったりするが、休みの日ではそのようなうつ症状が軽くなる又は消える状態が例として挙げられます。

アメリカ精神医学会が出版している、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-IV(1994年)」に「Atypical depression」の診断基準が示され、日本語で「非定型うつ病」と訳されました。具体的なその定義は以下とされています。(WHOが定義するICD-11において非定型うつ病は採用されていない)

非定型うつ病の定義

うつ病症状の最近2週間に以下の特徴が優勢である時、または気分変調性障害の最近の2年間にこれらの特徴が優勢な場合

A.気分の反応性(現実の、または可能性のある楽しい出来事に反応して気分が明るくなる)

B.次の特徴のうち2つ(またはそれ以上)
(1)著明な体重増加または食欲の増加
(2)睡眠過剰
(3)鉛様の麻痺(手や足の重い、鉛の様な感覚)
(4)長期間に渡る、対人関係の拒絶に敏感であるという様式(気分障害のエピソードの間だけに限定されるものでない)で、著しい社会的または職業的障害を引き起こしている。

C.メランコリー型の特徴、または緊張病性の特徴の基準を満たさない。

非定型うつ病が定義されるまでの歴史

非定型うつ病は、それまで神経症あるいはもともと持っている性格などパーソナリティ障害の治療を行っているときに、電気けいれん療法(ECT)や三環系抗うつ薬(TCA)で効果がない「軽症慢性うつ病群」の一部に、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)の効果が確認されたことがその始まりです。その後、様々な症候学*1的な意見がまとめられ、「非定型」として概念が形成されました。

*1症候学(しょうこうがく)とは、患者さんの示す様々な訴えや診察所見を分類し、1つの疾患として定義すること。

非定型うつ病は、軽症で慢性経過をとる非内因性うつ状態のうち、MAOI薬が特異的に効果がある病態とされました。一方で、従来の定型うつ病は、「三環系抗うつ薬(TCA)や電気けいれん療法(ECT)が奏功する内因性うつ病のこと」と考えられています。症状としては、不安を主要特徴とするものや、食欲、体重、睡眠、性欲の増大があり、発症年齢が早く20~30代女性に多い傾向にあります。最近では、概念の広がりとともに、様々な病態が非定型うつ病に含まれてしまうようになってきており、軽度の「双極性障害」なども非定型うつ病と診断されるケースも多々あります。

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非定型うつ病の症状

気分の反応性

非定型うつ病で気分が改善している状態のイメージ

良いことがあれば気持ちが良くなり、逆に悪いことがあると気持ちは沈むのは、健常者においても起こり得ることです。これだけであれば、疾患の特徴とはなり得ません。もう少し細かく説明すると、うつ症状があるが『気分の非反応性』という病的な症状がない、という事になります。メランコリー型のうつ病では、楽しい出来事があっても気分が改善しにくいのに対し、非定型の特徴では「気分の反応性」がみられます。すなわち、自身に対し良いことがあったり、好きな事をしている時は、うつ症状が軽くなったり、消えたりすることもあります。逆に嫌なことがあるとささいな事であっても気分がふさぎ落ち込んだり、身体が鉛のように重くなり、動けなくなったりします。

著明な体重増加または食欲の増加、睡眠過剰

従来のうつ病であれば、食欲不振と不眠が起こるため、非定型うつ病とは逆の状態になり、大きな違いとなります。

鉛様の麻痺(手や足の重い、鉛の様な感覚)

手足・全身が鉛のように重くなってしまったように感じる症状。ひどく気分が落ち込んだ時(気分反応性)に現れます。通常の疲労感、倦怠感と違い、全身に極度のだるさがでるため、起きていること自体困難になります。上記でも書きましたが、一緒に過眠も伴う事が多いので、ずっと横になって動けない状態になってしまう事が多いです。

長期間に渡る、対人関係の拒絶に敏感であるという様式
(気分障害のエピソードの間だけに限定されるものでない)で、著しい社会的または職業的障害を引き起こしている

人から自分への否定的な言動に対して激しく敏感に拒絶反応(落ち込み・ひきこもり・けんか・口論)してしまう症状。他人の通常の行動でも、本人の解釈によっては、侮辱・軽視・批判されたと捉え、拒絶反応を起こす事もあります。

非定型うつ病の原因

前述の通り、非定型うつ病の根本の定義は『非内因性うつ状態』である事から分かるように、ストレスを始めとした外的要因と考えられていますが現在のところ原因は解明されていません。

非定型うつ病をどう考えるべきか

様々な非定型うつ病の病像が提唱されてきていますが、大まかにまとめると3種に分類されます。

  • (a)若年発症の軽症慢性うつ状態で、対人関係に敏感な女性に多く、病的なうつ状態とパーソナリティ傾向との区別が困難な群
  • (b)発症年齢性別を問わず、周期性反復性の急性うつ状態(その多くは双極性障害)であり、過眠や過食、性欲の増加などの症状と脱力感を示す群
  • (c)DSM-IVの非定型うつ病概念からaとbを差し引いた群

以上の3種となります。

「非定型うつ病」は独立した病名というより、うつ病などにみられる「非定型の特徴」を示す概念です。気分の反応性、過眠、食欲や体重の増加、鉛様麻痺、拒絶過敏性などが特徴として挙げられます。

これらの特徴は双極性障害の抑うつエピソードなどでもみられるため、これまでの躁・軽躁症状や病気の経過などを含めて診断することが重要です。診断によって治療方針が異なるため、症状だけで自己判断せず、専門医に相談することが大切です。

非定型うつ病と性機能

非定型うつ病によるED症状

非定型うつ病では、一般的に知られるうつ病の症状とは逆に、食欲、体重、睡眠、性欲の増大を認める場合があります。性欲が上がることがあり、性欲はあるが勃起力がついていかないという場合には、ED症状を認めるケースもあります。ED症状がある場合には、バイアグラなどのED治療薬が大きく効果を発揮する場合も多いので、気になっている方は試してみるといいでしょう。

うつ病治療薬による薬剤性ED

非定型うつ病に対してMAOIが奏功するという報告は海外でありますが、日本では保険治療として認められていません。そのため、治療薬としては抗うつ薬や抗不安薬、気分安定薬、抗精神病薬などが使用されることになるかと思います。
その際には、副作用として薬剤性EDが疑われる薬剤もあり、注意が必要です。抗うつ薬や抗不安薬、気分安定薬、抗精神病薬などとED治療薬との飲み合わせに関しては問題なく、効果が出る可能性も高いです。

著者情報

竹越昭彦
監修医師 竹越 昭彦 (たけこし あきひこ)

浜松町第一クリニック院長。1991年に日本医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院、東戸塚記念病院外科での勤務を経て、2004年10月に浜松町第一クリニックを開院しました。ED治療薬・AGA治療薬の処方を行う男性専門クリニックとして、21年以上にわたり診療を行い、全医院合わせて延べ360万人以上の治療実績があります。若年層の心因性EDから、生活習慣病や加齢に関連するED、AGA治療薬の継続使用に関する相談まで、幅広い年代の患者様の悩みに向き合っています。

略歴

  • 1966年 生まれ
  • 1991年 日本医科大学卒業
  • 1991年 日本医科大学付属病院
  • 1993~2002年 東戸塚記念病院 外科
  • 2004年10月 浜松町第一クリニック開院
  • All About「ED・勃起不全」ガイド担当
    ⇒【All About|竹越 昭彦 プロフィール】
所属学会
  • 日本性機能学会 会員
  • 日本化学療法学会 会員
  • 日本形成外科学会 会員

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浜松町第一クリニックは、2004年の開院以来、男性専門クリニックとしてED治療薬・AGA治療薬の処方を行ってきました。当院では、医師の問診により健康状態や服用中のお薬を確認したうえで、厚生労働省に承認された国内正規のED治療薬のみを院内で処方しており、国内未承認薬や海外製の未承認薬は一切取り扱っていません。診察は問診のみで、ズボンを脱ぐような診察はありません。来院は予約不要で、初診料・再診料は無料です。ご来院が難しい方には、初診からご利用いただけるオンライン診療にも対応しており、電話問診のうえご自宅や職場などへ郵送のほか、郵便局留で受取もできます。

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