夏場に注意すべき食中毒と予防の三原則

ジメジメと蒸し暑く、食中毒が気になる季節になりました。食中毒の原因は、細菌やウイルスをはじめ、自然毒、化学物質、寄生虫などとさまざまですが、これからの季節に特に気をつけたいのが細菌による食中毒です。自宅で調理をする機会が増えている今、家庭でできる予防のポイントをしっかりとおさえておきましょう。

細菌性食中毒の主な種類

細菌の主な種類や食中毒の症状、原因となる食品や予防方法を、以下の表にまとめました。

細菌の種類 主な症状 主な原因食品 予防方法
腸管出血性大腸菌 激しい腹痛、下痢、血便(潜伏期間 3〜8日) 牛肉、レバー、生野菜 牛肉は中心部まで十分に加熱する(75 ℃で1 分以上)。野菜は熱湯で湯がく(100 ℃の湯で5 秒程度)。等
カンピロバクター 下痢、腹痛、発熱(潜伏期間 1〜7日) 肉(特に鶏肉)、飲料水、生野菜 鶏肉は中心部まで十分に加熱する。菌が移らないように加熱・生食用の調理器具を別にして熱湯消毒。等
サルモネラ 激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐(潜伏期間 6〜72 時間) 卵(加工品を含む)、肉 卵や肉は十分に加熱する(75 ℃で1 分以上)。卵の生食は新鮮なもののみ。等
黄色ブドウ球菌 吐気、嘔吐、腹痛、下痢(潜伏期間 1〜5 時間) おにぎりや弁当などの調理済み食品 手洗いを徹底し、手に傷がある場合は直接食品に触れない。等
腸炎ビブリオ 腹痛、水様下痢、発熱、嘔吐(潜伏期間 8〜24 時間) 魚介類(寿司、加工品) 魚介類は水でよく洗う。短時間でも冷蔵庫へ入れて菌の増殖を防ぐ。中心部までしっかり加熱する。等
ウエルシュ菌 下痢、腹痛(潜伏期間 6〜18 時間) カレー、魚や野菜の煮物 できるだけ早く食べ、残った食品を保存をする場合は速やかに冷却し、食べるときは十分に加熱する。等
セレウス菌 嘔吐型 (潜伏期間 30 分〜6 時間)下痢型 (潜伏期間 8〜16 時間) 嘔吐型 : ピラフやパスタ下痢型 : 肉、野菜、弁当 主菜の作り置きをせず、室内で放置しない。調理後は8 ℃以下、55 ℃以下で保存する。等

とりわけ発生件数の多いものは、O157で知られる腸管出血性大腸菌、カンピロバクター、サルモネラによる食中毒で、肉の生食や加熱不足が主な原因となります。黄色ブドウ球菌は人の皮膚、鼻や口の中に常在しており、手作業で行うおにぎりなどが注意すべき食品です。腸炎ビブリオは生魚に付着していることが多く、これも夏場に発生しやすい食中毒の一つ。ウェルシュ菌は、加熱調理後の食品を放置することで増殖します。セレウス菌は嘔吐型と下痢型があり、嘔吐型は米類やめん類などの作り置きが原因となりやすく、下痢型はあらゆる食品で可能性があります。

これらの食中毒を防ぐためには、次に紹介する三原則を守ることが大切です。調理をするときだけでなく、食材の購入から後片付けまで、以下のことを心がけましょう。

食中毒を防ぐための三原則

付けない

手についている菌を食品につけないために、調理の前は必ず手洗いをしましょう。調理の途中で鼻をかんだり、トイレに行った後なども忘れずに。手を拭くタオルも清潔にしておくことが大切です。また、生の肉や魚を切った後に、サラダなどの生食用の食材を切らないように気をつけましょう。

増やさない

菌は高温多湿を好むため、生鮮食品はすぐに冷蔵庫へ入れましょう。冷蔵庫は10 ℃以下、冷凍庫は-15 ℃以下を維持すること。ただし、これらの温度帯で保存をしていても菌が死滅するわけではないので、早めに使いきることが大切です。冷凍や解凍を繰り返すのもNG。室温ではなく、冷蔵庫や電子レンジを利用して食べきれる分を解凍しましょう。

やっつける

菌は加熱によって死滅するものが多いため、食材の中心部までしっかりと火を通しましょう。目安は、中心温度が75 ℃で1 分間以上です。口に入れる食品だけでなく、調理後の器具の洗浄も忘れずに行いましょう。洗剤でよく洗った後、熱湯をかけると効果的です。

夏場に気をつけたいシーンと予防対策

店頭での買い物

肉や魚、冷凍品などの温度管理が必要なものは、買い物の最後にカゴに入れ、持ち歩き時間を最小限にしましょう。購入リストを作っておくとスムーズに買い物ができ、無駄な買い物が減って節約にもつながります。購入後は寄り道をせずに真っすぐ帰宅し、速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れるようにしましょう。

カレーの作り置き・保存

夏は登場回数の多くなるカレーですが、鍋のまま放置をするとウェルシュ菌による食中毒を引き起こす恐れがあります。余ったものは速やかに冷まし、清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存をしましょう。食べるときは十分な加熱を。ただし、時間が経ちすぎてしまったり、ちょっとでも怪しいと思ったら口にするのをやめましょう。

炎天下の中でのバーベキュー

炎天下では菌が増殖しやすく、食材の保管や調理は特に気をつけなければいけません。肉を焼くまでは、保冷剤を入れたクーラーボックスで低温保管をし、焼くときは中までしっかりと火を通すこと。また、生肉を扱うトングと食べる際の箸を分け、生肉を触った後もしっかりと手を洗いましょう。

正しい手の洗い方や細かいポイントについては、厚生労働省のHPで紹介されているので合わせてご覧ください。日々の食事作りでバランスのよい献立を考えることも大切ですが、衛生的な調理を心がけて食中毒を予防しましょう。



Ayuka Midorikawa

緑川 鮎香

祐成陽子クッキングアートセミナーにてフードコーディネーターを取得。アボガド料理研究家としてwebを中心に様々なメディアにて活躍中。

緑川 鮎香
肩書

管理栄養士・フードコーディネーター・オリーブオイルジュニアソムリエ

経歴

東京農業大学管理栄養士専攻卒業。

著書

アボカドがあればごちそうレシピ―「アボカド料理研究家」が見つけた美味しい100の活用法 (Amazon)

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