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うつ病とED(勃起不全)について

うつ病とED(勃起不全)は相互に関連しており、特に若年層ではうつ病があるとEDの合併率が高まる傾向が強く、うつ症状の影響で性欲や性的興奮が減退し、心因性EDの原因となることがあります。

うつ病の治療に使われるSSRIなどの抗うつ薬には性機能を抑える副作用があり、EDを悪化させる場合もありますが、PDE5阻害薬(バイアグラなど)は多くのケースで有効とされており、主治医と連携しながら慎重に治療が進められます。

男性ホルモンの低下によるLOH症候群(加齢性性腺機能低下症候群)はうつ病やEDと密接に関係しており、ストレスや加齢によりテストステロンが減少すると心身の不調が連鎖的に起こりやすくなるため、ホルモンバランスの確認も重要です。

うつ病とED

うつ病とED

うつ病や双極性障害(うつ状態と躁状態を繰り返す)などの気分障害の患者数は2002年の厚生労働省の推計で約68.5万人、2011年には約92.9万人、2017年には約124.6万人、2020年には約169.3万人と、ここ20年で約2.5倍と大幅に増加してきています。上記人数は、外来患者数の推移のため、さらに医師の治療を受けていない潜在的な方を含めるとこれよりかなり大きな数字になると考えられます。
(2020年より統計基準に一部変更あり)
参照 精神疾患を有する外来患者数の推移|厚生労働省
参照 令和6年厚生労働白書|厚生労働省

EDとうつ病は、双方向に関連しあっています。EDには大まかに分けて、身体的な機能不全からくる「器質性ED」と、メンタルに起因する「心因性ED」、器質性EDと心因性EDの「混合性ED」、そしていくつか特定の薬によって引き起こされる「薬剤性ED」がありますが、うつ病の場合は、そのいずれの可能性もあることが分かっています。

うつ病とEDの関連性は、1970年代後半ごろから指摘されていました。1990年代後半には、ED患者ではうつの有病率が、非ED患者と比べて2.6倍であるとの報告もされていますが、当院でも2021年に調査を実施し、実際にうつ病有病者とそうでない人でED合併率に違いがあるのかアンケート調査を実施しました。

うつ病とEDとの相関調査

今回の調査にて、うつ病と診断されている人、過去にうつ病と診断されたことがある人、うつ病ではない人の中等度以上ED有病率は以下のようになりました。
40~59歳:うつ病:25.76%、過去に診断歴あり:20.00%、うつ病ではない:15.53%
60~79歳:うつ病:48.39%、過去に診断歴あり:45.15%、うつ病ではない:42.49%
年齢が若いほど、うつ病かそうでないかで中等度以上ED合併率の差が大きくなので、20~39歳だともっと差があることが推測されます。

集計期間:2021年5月7日~9日調査方法:インターネット集計調査対象:日本全国の40~79歳の男性 合計4,000人(5歳階級ごとに500人)
内訳:「40~59歳:2,000人」「60~79歳:2,000人

  • EDではない:毎回、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる
  • 軽度ED:たいていの場合、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる
  • 中等度ED:時々、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる
  • 重度ED:毎回、性交に十分な勃起が得られない。また、維持もできない
40~59歳 EDではない 軽度ED 中等度ED 重度ED 中等度ED+重度ED 合計
うつ病と診断されている 66(50.0%) 32(24.2%) 20(15.2%) 14(10.6%) 34(25.8%) 132(100%)
過去にうつ病と診断されたことがある 96(54.9%) 44(25.1%) 22(12.6%) 13(7.4%) 35(20.0%) 175(100%)
うつ病ではない 1,098(64.9%) 332(19.6%) 188(11.1%) 75(4.4%) 263(15.5%) 1,693(100%)
60~79歳 EDではない 軽度ED 中等度ED 重度ED 中等度ED+重度ED 合計
うつ病と診断されている 10(32.3%) 6(19.4%) 8(25.8%) 7(22.6%) 15(48.4%) 31(100%)
過去にうつ病と診断されたことがある 23(25.3%) 26(28.6%) 20(22.0%) 22(24.2%) 42(46.2%) 91(100%)
うつ病ではない 679(36.2%) 401(21.4%) 378(20.1%) 420(22.4%) 798(42.5%) 1,878(100%)

抑うつ気分によるED

うつ病では、その名のとおり憂鬱な気分になり、何事にも意欲がわかなくなります。意欲の減退はそのまま性欲減退にも繋がり、EDにつながることがあります。心因性EDの代表的な症状といえるでしょう。加齢や病気などによる動脈硬化が進行していない若年層でも見られ、EDの原因となる器質的な原因が見つからない場合があります。

勃起は、性的な興奮が脳から陰茎に伝えられることで起こりますが、うつ病などで性的刺激を脳が十分に感じない場合、脳からの性的刺激が伝わらず性器海綿体動脈が拡張せず、勃起に至りません。うつ病でも、バイアグラをはじめとする PDE5 阻害薬は、血管拡張作用により血流が増加し、効果が出る可能性が高いです。しかし、強い抑うつ気分を認める場合や特定の向精神薬などを服用している場合には効果が十分にでないこともあります。

日々の診療において、精神科やメンタルクリニックに通院されている方が当院を受診することは特に珍しい事ではありません。とは言っても、先ほど書いた通り、重症の方が来院されるというケースは稀で、少なくとも当院受診時にはある程度、うつ病のコントロールがついた状態での来院という方が多いと思います。個人的な意見ですが、抑うつ気分がかなり強い場合ですと、そもそも性欲がなかったり、気分の落ち込みからなかなかEDの症状にまで気が回らないことがほとんどなのではないかなと考えています。多少なりともEDの事を気に掛けることが出来るようになっているのは、ある程度精神症状が落ち着いて来ているからなのだろうと思います。

抗うつ剤とED

うつ病の治療に用いられる抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬、抗精神病薬など、うつ病の治療に用いられる薬の中には、性機能を悪化させるものがあります。現在、抗うつ薬として最も良く使用されている SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、中枢神経系でセロトニンを増加させることで、性欲に関わるドーパミンの作用を抑制することが知られています。またいくつかの SSRI では、射精を抑制する作用があることも分かっています。これを逆に利用して、早漏の治療に SSRI を応用するケースもあります。

従来までは、抗うつ剤を服用している方のED治療は困難とされていましたが、PDE5 阻害薬が認可されてからは、事情が大きく変化しました。SSRI を内服している方でも、PDE5 阻害薬の有効性が認められたためです。ただし、内服している向精神薬の種類によっては、PDE5 阻害薬の効果を低下させることもあるため、併用薬については慎重に検討すべきです。

精神安定剤の服用

向精神薬によるEDは、簡単に考えれば内服を中止すれば済む問題ではあるのですが、なぜその内服薬を服用しているのか、といったポイントにも注意しなくてはなりません。当然、うつ病の何かしらの症状を自覚し、病院を受診し、薬を処方されている、といった流れだと思います。ですので、現在服用している薬には、何かしらの必要性があって内服しているのだと考えるべきだと思います。この部分との兼ね合いで、考えるべきだという事です。

受診される方の中には、確かにEDを引き起こしうる薬剤を内服されている方もいらっしゃいます。そういった場合、『薬の調整は必ず、薬を処方してもらっている病院で行いましょう』とお伝えしています。自己判断で勝手に内服薬の調整したり、中断することは、多くの場合において良い結果を生まないからです。EDの事を相談しにくい場合には『体調が良いので薬を少しずつ減らしていく事は可能でしょうか?』といった形で、主治医の先生に聞いてみるのが良いかと思います。

抗うつ薬の服用とEDとの相関調査

抗うつ薬を服用している人、うつ病だが抗うつ薬を服用していない人、うつ病でもなく抗うつ薬も服用していない人の中等度以上ED有病率は以下のようになりました。
40~59歳:服用している:25.76%、うつ病だが服用していない:20.00%、服用していない:15.53%
60~79歳:服用している:48.39%、うつ病だが服用していない:45.15%、服用していない:42.49%
年齢が若いほど、ED有病率が低いので20~39歳だと抗うつ薬の服用の有無でもっと差がでることが推測されます。

集計期間:2021年5月7日~9日調査方法:インターネット集計調査対象:日本全国の40~79歳の男性 合計4,000人(5歳階級ごとに500人)
内訳:「40~59歳:2,000人」「60~79歳:2,000人

  • EDではない:毎回、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる
  • 軽度ED:たいていの場合、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる
  • 中等度ED:時々、性交に十分な勃起を得ることができて維持することもできる
  • 重度ED:毎回、性交に十分な勃起が得られない。また、維持もできない
40~59歳 EDではない 軽度ED 中等度ED 重度ED 中等度ED+重度ED 合計
抗うつ薬を服用している 73(45.3%) 46(28.6%) 24(14.9%) 18(11.2%) 42(26.1%) 161(100%)
うつ病と診断されたが抗うつ薬を服用していない 20(57.1%) 7(20.0%) 7(20.0%) 1(2.9%) 8(22.9%) 35(100%)
うつ病ではなく抗うつ薬も服用していない 1,167(64.7%) 355(19.7%) 199(11.0%) 83(4.6%) 282(15.6%) 1,804(100%)
60~79歳 EDではない 軽度ED 中等度ED 重度ED 中等度ED+重度ED 合計
抗うつ薬を服用している 13(26.5%) 13(26.5%) 13(26.5%) 10(20.4%) 23(46.9%) 49(100%)
うつ病と診断されたが抗うつ薬を服用していない 3(30.0%) 3(30.0%) 2(20.0%) 2(20.0%) 4(40.0%) 10(100%)
うつ病ではなく抗うつ薬も服用していない 696(35.9%) 417(21.5%) 391(20.1%) 437(22.5%) 828(42.7%) 1,941(100%)

うつ病とLOH症候群との関連性

男性ホルモンの一種である、テストステロンの分泌量が低下することによって、さまざまな症状をきたすことを「テストステロン減少症(低下症)」や「性腺機能低下症」と呼びます。うつ病やストレスによって若年層に起こることもありますが、仕事などでストレスの多い40代を過ぎて起こる男性更年期障害と呼ばれる LOH 症候群(加齢性性腺機能低下症候群)では、加齢やストレスによって男性ホルモンであるテストステロンなどのアンドロゲンが低下することでうつ病を引き起こします。そのうつ病がさらにアンドロゲンの低下させるという悪循環ともなり、このうつ病と男性ホルモンの低下は、EDの症状を誘発すると考えられます。年齢とともに男性ホルモンがある程度低下していくのは自然の流れではあるのですが、それが標準以上に下がった状態ですと、こういった症状を自覚すると考えられています。

男性更年期障害

うつ病とEDの治療

バイアグラなどのED治療薬と、うつ病の薬で飲み合わせの悪い薬はありません。抑うつ症状の度合にもよりますが、バイアグラなどの PDE5 阻害薬の有効性が高いため、効果判定に一度服用してみるとよいでしょう。多くの場合で効果が期待出来ますが、効果がない場合には、服用している抗うつ剤の種類の見直しや強い抑うつ症状がある場合には、心療内科で主治医の先生に相談をする必要があります。

うつ病の種類と特徴

統合失調症とは統合失調症とED
双極性障害とは双極性障害とED
非定型うつ病とは非定型うつ病とED
抗うつ剤と薬剤性ED抗うつ剤とED

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当院の治療方法

浜松町第一クリニックでは、患者様に問診を実施し、厚生労働省に認可されたED治療薬を処方しております。例えば、心因性EDの場合、何らかのきっかけでEDの悩みが改善するケースが少なくありません。当院の集計データによると、そのほとんどは、バイアグラなどのED治療薬を1回から数回服用し、ご納得のいく性行為ができれば、それが自信につながり、その後はED治療薬を服用しなくても改善するケースが多いことが証明されています。もし、同じようにEDで悩まれている方がいらっしゃいましたら、ED治療薬を試してみることによって改善される可能性は十分にあります。少しでも心配な方は一度当院で受診されてみてはいかがでしょうか?

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01
当院のED処方数は年間約20万人 ※ バイアグラ・レビトラ・シアリス・各ジェネリックの処方数
(グループ7院の合算データ)

ED治療薬の処方には医師の診察が必須で、
当院では年間約20万人の対象患者様に処方しています。

ED治療薬のシェアの割合グラフ
02
20代のED初診数も増加 ※ 2024年の20代の診察のうち初診割合は12.83%
(2006年時の20代の初診割合は4.92%)

人口減少しているのにED初診数が増加しており、
20代でEDで悩む割合がとても増えています。

ED治療薬のシェアの割合グラフ
03
ED治療で元気なセカンドライフ ※ 2024年の70代の診察のうち初診割合は5.47%
(2006年時の70代の初診割合は1.30%)

当院グループだけでも、
月60名程度80歳を超える患者様にご来院いただいています。

ED治療薬のシェアの割合グラフ
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