父親から薄毛（AGA）は77%遺伝する

AGAの遺伝

AGAは、Andro(男性) genetic（遺伝性）Alopecia（脱毛症）を意味し、遺伝することをご存知の方も多いのではないでしょうか？

父親や祖父が薄毛（AGA）であるという場合には、ご自身もAGAを発症するのではないかと心配になりますし、どれくらいの確率で薄毛（AGA）が遺伝するのかはかなり気になるところです。当院にて、日本で30～59歳6,000名の男性にインターネットアンケート調査を実施した結果、70％を超える高い割合で父親や両祖父からAGAが遺伝することが分かりましたので、こちらのページで調査結果を基に解説していきます。

AGAと関係するヒトの遺伝子

AGAと関係する遺伝子はいくつか挙げられています。

まず、ヒトの遺伝子染色体は、通常は22対の常染色体と1対の性染色体の23対46本の染色体があります。その中でも、常染色体の17q21*1、20p11*2とAGAに関連があることが｢男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017
年版｣に明記されており、こちらは｢父方｣からも｢母方｣からも遺伝する可能性があります。またAGAと関係のある｢男性ホルモン受容体遺伝子｣は、性染色体のX染色体に存在すると考えられており、父方の遺伝子だけでなく母方から薄毛（AGA）の遺伝子が受け継がれる可能性があり、母方の祖父の薄毛の状態も確認する必要があるといえます。

参照 ⇒ 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版^{※2765ページ｢1.疾患の概念｣を参照}

※画像転載⇒wikipedia 染色体ページより

遺伝子の17q21*1や20p11*2ってどういう意味？！

17q21とは、17番遺伝子の長腕領域2の1番目の縞という意味です。20p11は、20番目遺伝子の短腕1領域の１番目の縞を意味しています。科学の進歩によって、遺伝子のどの部分がどのように関わっているのか解明されており、研究者の方々には頭が下がる思いです。遺伝子にご興味ある方は以下ページもご覧になってみてください。
参考 ⇒ 一般社団法人 日本家族計画協会　遺伝のはなし･外部サイト

【薄毛(AGA）実態調査】遺伝に関する調査概要

本人の薄毛（AGA）の状態と、｢父親｣、｢父方の祖父｣、｢母方の祖父｣の薄毛の状態を質問し、自身の薄毛発症との関連性を調査しました。

集計期間：2024年6月14日～20日
調査方法：インターネット集計
対象地域：日本全国
調査対象：30～59歳の男性6,000名

※30-59歳(5歳階級別)　内訳は以下の通り
「30～34歳 男性：1,000人」「35～39歳 男性：1,000人」
「40～44歳 男性：1,000人」「45～49歳 男性：1,000人」
「50～54歳 男性：1,000人」「55～59歳 男性：1,000人」

リサーチ協力 ⇒ 株式会社ネオマーケティング

まず、本人の薄毛（AGA）の状態は、最初に薄毛（AGA）経験の有無を確認し、薄毛（AGA）経験がある方には、以下のハミルトン･ノーウッド分類を用いて、薄毛の状態を回答して頂いています。

Q.自身の薄毛（AGA）の状態を選択してください。
※薄毛（AGA）治療をして改善した人は、改善前の状態を答えてください。

1. Ⅰ型：脱毛が始まっていない又はごく初期状態でほとんど分からない程度
2. Ⅱ型：生え際から｢M字型｣に進行し始めた状態で少し気になる程度
3. Ⅱa型：おでこから、全体的に生え際がやや後退しはじめている状態
4. Ⅱ型 Vertex型：生え際から｢M字型｣の進行に加えて、頭頂部が｢Ｏ型｣に脱毛してきた状態
5. Ⅲ型：生え際から｢M字型｣がⅡ型より徐々に進行し目立ってきた状態で薄毛（AGA）だと分かる状態
6. Ⅲa型：おでこから、全体的に生え際が後退してきているがまだM字の形をしている状態
7. Ⅲ型 Vertex型：Ⅲ型の｢M字型｣状態に加え、頭頂部が｢Ｏ型｣に進行してきた状態
8. Ⅳ型：｢前頭部｣から｢頭頂部｣にかけて進行した状態だが、｢前頭部｣と｢頭頂部｣の脱毛領域がつながっていない状態
9. Ⅳa型：おでこから、頭頂部に向かって大きく生え際が後退し、脱毛箇所が｢逆Uの字型｣の状態
10. Ⅴ型：｢前頭部｣から｢頭頂部｣にかけて進行し、｢前頭部｣と｢頭頂部｣の脱毛領域がほとんどつながっている状態
11. Ⅴa型：Ⅳaの脱毛箇所と｢頭頂部｣の脱毛領域がつながっている状態
12. Ⅵ型：｢前頭部｣と｢頭頂部｣の両方が、全体的にかなり進行し、側頭部と後頭部以外は脱毛が進んでいる状態
13. Ⅶ型：Ⅵ型よりさらに脱毛度合いが進行している状態

詳細はこちらから ⇒ 日本在住6,000人のうす毛（AGA）発症率

AGAはどれくらいの確率で父親から遺伝するのか？

上記の薄毛(AGA）実態調査のアンケートに父親が40代～50代頃だった時の薄毛（AGA）の状態の質問を設け、本人の薄毛の状態と父親が50歳前後の時の薄毛の状態の関連性を調査しました。

【設問】ご自身の｢父親｣が40代～50代頃の頭髪の状態を教えてください。

1. かなり症状が進んだ重度の薄毛（AGA）だと（だったと）思う（おでこの生え際から頭頂部まで全体の髪の毛がなくツルツル又はかなり少ない状態）
2. 症状が進んだ中等度の薄毛（AGA）だと（だったと）思う（後頭部や側頭部と比較して、おでこの生え際から頭頂部まで髪の毛が明らかに薄く、薄毛だとはっきりわかる状態）
3. 当時の年齢に対して、髪の毛が薄い（かった）思う
4. 当時の年齢相応の髪の毛の量だと（だったと）思う
5. 当時の年齢からして髪の毛が多い方だと（だったと）思う
6. 不明・わからない

父親が重度･中等度の薄毛（AGA）だった場合の本人AGA発症率は76.7％

アンケート調査の結果、｢父親が重度･中等度AGA(設問の①②を選択）｣だった場合、76.7％（787人中604人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAを本人が発症している割合は、44.5％(787人中350人）と回答され、父親が重度または中等度のAGAだった場合には、非常に高い確率で本人も薄毛（AGA）を発症し、また進行した薄毛になりやすいことが分かりました。

父親が軽度AGAだった場合、本人のAGA発症率69.2％

｢父親が軽度AGA（③を選択）｣だった場合、69.2％（863名中597人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、32.3％（863名中279人）と回答され、父親が｢重度･中等度AGA｣の場合と比較して、AGA発症率、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合共に、確率は低くなりましたが、
やはり高い確率でAGAを発症し、薄毛（AGA）が遺伝していることが見て取れます。

父親がAGAでなかった場合、本人のAGA発症率32.0％

｢父親が薄毛（AGA）ではない(④を選択）｣場合、32.0％（1613名中516人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、12.1%（1613名中195人）と回答され、父親が｢AGAでなかった｣場合には、本人の薄毛（AGA）発症率はかなり低い結果となりました。

｢父親の髪の毛が多かった｣場合、本人のAGA発症率22.6％

｢父親の髪の毛が多かった（⑤を選択）｣場合、22.6％（1408名中318人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、8.4％（1408名中118人）と回答され、｢父親の髪の毛が多かった｣場合には、本人の薄毛（AGA）発症率はさらに低い割合となりました。

｢父方の祖父｣からのAGA遺伝率

父親だけではなく、父方の祖父の薄毛（AGA）の状態の質問を設け、本人の薄毛の状態と｢父方の祖父｣の薄毛の状態の関連性を調査しました。

【設問】ご自身の｢父方の祖父｣は、男性型の薄毛（AGA）だったと思いますか。
記憶がある範囲で祖父ができるだけ若い時の状態をお答えください。
※ご注意：母方の祖父ではなく、父方の祖父についてお答えください。

1. かなり症状が進んだ重度の薄毛（AGA）だと（だったと）思う（おでこの生え際から頭頂部まで全体の髪の毛がなくツルツル又はかなり少ない状態）
2. 症状が進んだ中等度の薄毛（AGA）だと（だったと）思う（後頭部や側頭部と比較して、おでこの生え際から頭頂部まで髪の毛が明らかに薄く、薄毛だとはっきりわかる状態）
3. 当時の年齢に対して、髪の毛が薄い（かった）思う
4. 当時の年齢相応の髪の毛の量だと（だったと）思う
5. 当時の年齢からして髪の毛が多い方だと（だったと）思う
6. 不明・わからない

｢父方の祖父｣が重度･中等度の薄毛（AGA）だった場合の本人AGA発症率は72.2％

｢父方の祖父が重度･中等度AGA(設問の①②を選択）｣だった場合、72.2％（965人中697人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、38.4％(965人中371人）と回答され、｢父方の祖父｣が重度または中等度のAGAだった場合には、こちらも非常に高い確率で本人も薄毛（AGA）を発症し、また薄毛が進行しやすいことが分かりました。

｢父方の祖父｣が軽度AGAだった場合、本人のAGA発症率65.2％

｢父方の祖父が軽度AGA(設問の③を選択）｣だった場合、65.2％（681名中444人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、30.5％（681名中208人）と回答され、｢父方の祖父｣が｢重度･中等度AGA｣の場合と比較して、AGA発症率、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合共に、割合は低くなりましたが、こちらも高い確率でAGAを発症しています。

｢父方の祖父がAGAでなかった(設問の④を選択）｣場合、本人のAGA発症率31.5％

｢父方の祖父｣が薄毛（AGA）ではない場合、31.5％（1214名中383人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、12.2%（1214名中148人）と回答され、｢父方の祖父｣が｢AGAでなかった｣場合には、かなり薄毛（AGA）発症率が低い結果となりました。

｢父方の祖父の髪の毛が多かった(設問の⑤を選択）｣場合、本人のAGA発症率22.7％

｢父方の祖父｣の髪の毛が多かった場合、22.7％（991名中225人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、7.7％（991名中76人）と回答され、｢父方の祖父｣の髪の毛が多かった場合には、薄毛（AGA）発症率はさらに低い割合となりました。

｢母方の祖父｣からのAGA遺伝率

同様に、母方の祖父の薄毛（AGA）の状態の質問を設け、本人の薄毛の状態と｢母方の祖父｣の薄毛の状態の関連性を調査しました。

【設問】ご自身の｢母方の祖父｣は、男性型の薄毛（AGA）だったと思いますか。
記憶がある範囲で祖父ができるだけ若い時の状態をお答えください。
※ご注意：父方の祖父ではなく、母方の祖父についてお答えください。

1. かなり症状が進んだ重度の薄毛（AGA）だと（だったと）思う（おでこの生え際から頭頂部まで全体の髪の毛がなくツルツル又はかなり少ない状態）
2. 症状が進んだ中等度の薄毛（AGA）だと（だったと）思う（後頭部や側頭部と比較して、おでこの生え際から頭頂部まで髪の毛が明らかに薄く、薄毛だとはっきりわかる状態）
3. 当時の年齢に対して、髪の毛が薄い（かった）思う
4. 当時の年齢相応の髪の毛の量だと（だったと）思う
5. 当時の年齢からして髪の毛が多い方だと（だったと）思う
6. 不明・わからない

｢母方の祖父｣が重度･中等度の薄毛（AGA）だった場合の本人AGA発症率は70.7％

｢母方の祖父が重度･中等度AGA｣だった場合、70.7％（860人中608人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、35.0％(860人中301人）と回答され、こちらも非常に高い確率で本人も薄毛（AGA）を発症し、また薄毛が進行しやすいことが分かりました。

｢母方の祖父｣が軽度AGAだった場合、本人のAGA発症率63.9％

｢母方の祖父が軽度AGA｣だった場合、63.9％（657名中420人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、30.4％（657名中200人）と回答され、母方の祖父が｢重度･中等度AGA｣の場合と比較して、AGA発症率、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合共に、割合は低くなりましたが、こちらも高い確率でAGAを発症しています。

｢母方の祖父｣がAGAでなかった場合、本人のAGA発症率31.7％

｢母方の祖父｣が薄毛（AGA）ではない場合、31.7％（1277名中405人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、14.0%（1277名中179人）と回答され、｢母方の祖父｣が｢AGAでなかった｣場合には、かなり薄毛（AGA）発症率が低い結果となりました。

｢母方の祖父｣の髪の毛が多かった場合、本人のAGA発症率26.0％

｢母方の祖父｣の髪の毛が多かった場合、26.0％（1008名中262人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、10.7%（1008名中108人）と回答され、｢母方の祖父｣の髪の毛が多かった場合には、薄毛（AGA）発症率はさらに低い割合となりました。

父親と｢両祖父｣に薄毛（AGA）がいない場合のAGA発症率

上記結果を集計し、父親、父方の祖父、母方の祖父の3名に1人も薄毛（AGA）がいない場合の、AGA発症率も割り出しました。

その結果、父親と両祖父に1人もAGAがいない場合の本人のAGA発症率は19.2％（1367人中262人）で、そのうち中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、5.4%（1367人中74人）と、AGA発症率は低い結果となりました。

兄弟に薄毛（AGA）がいた場合の本人のAGA発症率

上記、父親や祖父からの薄毛の遺伝率の他、薄毛（AGA）の兄弟がいる場合、本人の薄毛（AGA）頻度はどの程度なのかも、同様にアンケートしました。

【設問】男性型の薄毛（AGA）だと思う兄弟（男性）はいますか。

1. かなり症状が進んだ重度の薄毛（AGA）の兄弟がいる（おでこの生え際から頭頂部まで全体の髪の毛がなくツルツル又はかなり少ない状態）
2. 症状が進んだ中等度の薄毛（AGA）の兄弟がいる（後頭部や側頭部と比較して、おでこの生え際から頭頂部まで髪の毛が明らかに薄く、薄毛だとはっきりわかる状態）
3. 年齢に対して、髪の毛が薄いと思う兄弟がいる
4. 薄毛（AGA）の兄弟はいない
5. 兄弟がいない
6. 不明・わからない

重度・中等度のAGAの兄弟がいる場合のAGA発症率　88.5％

｢重度･中等度AGA(設問の①②を選択）の兄弟がいる｣場合、88.5％（443人中392人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、48.8％(443人中216人）と回答され、本人も薄毛（AGA）を発症している確立が非常に高く、また薄毛が進行しやすいことが分かりました。

軽度AGAの兄弟がいる場合のAGA発症率　72.3％

｢軽度AGA(設問の③を選択）の兄弟がいる｣場合、72.3％（509名中368人）が、本人もAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、35.2％（509名中179人）と回答され、本人も薄毛（AGA）発症リスクが高い結果となりました。

兄弟に薄毛（AGA）がいない場合

｢兄弟に薄毛（AGA）がいない(④を選択）｣場合、30.7％（2243名中688人）が、本人はAGAを発症した経験があると回答しました。
そのうち、中等度（Ⅲ型）以上のAGAの発症割合は、12.4%（2243名中278人）と回答され、本人の薄毛（AGA）発症率が低い結果となりました。

薄毛（AGA）の遺伝まとめ

「父親」や「父方の祖父」の薄毛の状態は、上記調査の通り、非常に高い遺伝率となりました。また父方だけではなく、母方の祖父からの遺伝率も高く、父方の家系だけではなく、母方の家系の薄毛の状態も確認する必要があります。特に、中等度や重度AGAが父親や両祖父にいる場合には、いずれも70％を超える割合で薄毛（AGA）を発症しており特に注意が必要です。

その他、兄弟がいる場合、兄弟の薄毛（AGA）に本人も似た状態となる可能性が高く、薄毛（AGA）の兄弟がいる場合には、十分な注意が必要となります。

各調査結果詳細データ

父親からの薄毛の遺伝率詳細データ

Q.ご自身の｢父親｣が40代～50代頃の頭髪の状態を教えてください。

【回答者】30～59歳の男性6,000名(5歳階級ごとに各1,000名）

父方の祖父からの薄毛の遺伝率詳細データ

Q.ご自身の｢父方の祖父｣は、男性型の薄毛（AGA）だったと思いますか。記憶がある範囲で祖父ができるだけ若い時の状態をお答えください。※ご注意：母方の祖父ではなく、父方の祖父についてお答えください。

【回答者】30～59歳の男性6,000名(5歳階級ごとに各1,000名）

母方の祖父からの薄毛の遺伝率詳細データ

Q.ご自身の｢母方の祖父｣は、男性型の薄毛（AGA）だったと思いますか。記憶がある範囲で祖父ができるだけ若い時の状態をお答えください。※ご注意：父方の祖父ではなく、母方の祖父についてお答えください。

【回答者】30～59歳の男性6,000名(5歳階級ごとに各1,000名）

兄弟の薄毛と本人の薄毛発症率の関係詳細データ

Q.男性型の薄毛（AGA）だと思う兄弟（男性）はいますか。

【回答者】30～59歳の男性6,000名(5歳階級ごとに各1,000名）